〜SBIグループに見るデータ活用の民主化〜
はじめに

SNSマーケティングは、もはや広告運用や投稿管理だけでは語れない時代になった。どの企業も「データドリブン」を掲げるが、実際には部署ごとにツールやKPIがばらつき、グループ全体で最適化できている企業は少ない。そんな中で注目したいのが、SBIホールディングスが進める「CoE(Center of Excellence)」型のデジタルマーケティング体制だ[1]。
CoEとは何か
CoEとは、直訳すると「卓越性の中心」。企業全体を横断して専門知識やノウハウを集約し、全社的に標準化・最適化を進めるための中枢組織のことを指す。SBIグループでは2012年に「社長室ビッグデータ担当」というCoE組織を設立し、データ基盤や分析スキルの共有を進めてきた[1]。
SNSマーケティングでも同様に、個別のキャンペーンや投稿を超えて、データを全体最適化する「頭脳」が求められている。ツールや広告運用の効率化だけでなく、CoEが持つのは次のような役割だ。
- グループ横断の意思決定を支える分析基盤の構築
- 各社・各部署に散らばるデータを統合し、相互送客を最適化
- ノウハウの共有と育成による、マーケティングスキルの底上げ
こうした動きは単なるデータ整備ではなく、「社内文化の変革」でもある。
SBIグループが進めた「データ活用の民主化」
SBIの事例で特に印象的なのは、「データの民主化」というキーワードだ。
エンジニアだけでなく、ビジネス部門の担当者が自らBigQueryを操作し、顧客行動や広告効果を即座に確認できる体制を整備している[1]。
つまり、データ分析が「専門部署の仕事」から「誰でも使える日常ツール」へと進化しているのだ。
これにより、SNSキャンペーンの反応をその日のうちに可視化し、改善施策をすぐ回す——そんな高速PDCAが現実になっている。
この仕組みを支えているのが、グループ全体をつなぐクラウド基盤(BigQuery)と、Googleタグマネージャーによる計測の統一。データ収集から分析、AI活用までを一貫して管理することで、「全社のSNS戦略が同じ目線で動く」状態を実現している。
SNSマーケティングにおけるCoEの意義
SNSの世界は、投稿内容やタイミングだけでなく、広告配信アルゴリズムやユーザー行動の変化にも影響される。個社単位の運用では、どうしても対応が後手になる。
CoEのような中枢があることで、SNS運用も次のように変わる。
- グループ内の成功事例をすぐに共有し、他社にも横展開できる
- 共通の分析基盤によって、プラットフォームを跨いだROIを比較可能に
- SNS投稿から広告・CRMまで、顧客体験全体を統合的に設計できる
特にSBIのように複数の事業会社を抱えるグループでは、CoEが存在しなければデータが分断され、せっかくの顧客資産が活かされない。SNSマーケティングの「本当の効率化」は、投稿の自動化や広告最適化だけでなく、この“つながりを生む仕組み”の構築にある。
まとめ
SNSマーケティングの現場は、今や「感覚と経験」では動けない。SBIグループが進めるCoE体制は、データを企業文化に根付かせ、現場の意思決定を速く・賢くする仕組みを体現している。
SNSの裏側で本当に価値を生むのは、バズる投稿でも派手なクリエイティブでもなく、「データを横断的に活かせる組織」だ。これからのSNSマーケティングは、運用ノウハウよりも“組織設計”が勝負を決める時代に入っている。
引用文献
[1] SBIグループにおけるグループ横断的なデジタルマーケティング基盤の構築 − Google Cloud Finance Summit 2023 https://lp.cloudplatformonline.com/rs/808-GJW-314/images/Finance_Summit_0302_Session1.pdf

