
はじめに
近年、人的資本経営やワーク・エンゲージメントの重要性が高まるなか、「心理的資本(Psychological Capital)」は、企業における人材戦略の中で注目される存在になっています。本記事では、その本質や構成、そして組織における意義を、「Hidelabらしい」自然な語り口で掘り下げてみたいと思います。
心理的資本とは何か
心理的資本とは、働く人が未来や仕事に対してポジティブな感情を持ち、自信や希望を抱きながら困難を前向きに克服しようとする「心の力」を指します。この概念は、経営学者フレッド・ルーサンス氏が2002年ごろに提唱したもので、ポジティブ心理学の一領域として広がりを見せています。
なぜ今、注目されているのか
心理的資本が注目を集める背景には、まず「ワーク・エンゲージメントの向上」が挙げられます。厚生労働省の労働経済白書でも心理的資本の有効性が紹介されており、離職率の低下や生産性向上といった効果が期待されています。
また、人的資本経営の流れのなかでは、従業員エンゲージメントが重要な指標とされており、『人材版伊藤レポート2.0』でもその位置づけが明示されています。そのため、心理的資本を測定・可視化し、人材戦略に活用する企業も増えているのです。
心理的資本を構成する「HERO」とは
心理的資本は次の4つの要素から成り立っており、それぞれの頭文字をとって「HERO」と呼ばれます。
Hope(希望)
目標に向かうエネルギーと、その達成のための計画を併せ持つ積極的心理状態。困難に直面しても計画を柔軟に修正し、やり遂げようとする姿勢を含みます。
Efficacy(自己効力感)
「自分ならできる」と信じる認知状態で、難しい目標を設定し挑戦し続ける意欲が伴います。粘り強さや集中力と深く結びついています。
Resilience(回復力)
逆境や失敗から素早く立ち直る力だけでなく、昇進などの「ポジティブな変化」にも適応できる柔軟性を持つ状態です。克服の過程でさらに成長しようとする姿勢が含まれます。
Optimism(楽観性)
出来事をどう捉えるかという視点で、成功を自分の努力や能力によるものと受け止め、逆に失敗を「一時的な外的要因」として切り離す思考パターンを指します。
心理的資本の特徴──測定でき、そして開発できる
心理的資本は、まず「測定可能」であることが特徴です。Hope・Efficacy・Resilience・Optimism の4要素それぞれに6問ずつ、合計24問による質問形式で定量的に把握する方法が提案されています。測定結果はパフォーマンスや満足度、組織コミットメント、幸福感、健康など、さまざまな成果指標と相関があるとされます。
さらに、心理的資本には「開発可能」であるという強みもあります。例えば、目標達成や回復力に焦点を当てた短時間(1〜3時間程度)研修によって、心理的資本が2〜3%向上したという研究結果も報告されています。まさに、心の力を意図的に育てることが可能である点が特筆されます。
心理的資本が生む組織への好影響
心理的資本を高めることは、個人のパフォーマンス向上にとどまらず、組織全体にとってもプラスになります。自ら目標を追い、逆境を跳ね返し、困難に前向きに関わる姿勢は、組織風土の醸成や業績向上につながるでしょう。
また、測定と開発が可能である点を活かし、PDCAサイクルを回すことで持続的な改善が望めます。心理的資本をKPIとして設定し、定期的なスコアの測定と取り組みの強化を重ねることで、組織としての成長を促すことができます。
おわりに
心理的資本は、Hope・Efficacy・Resilience・Optimism という4つの要素からなる「心の資本」とされ、近年は人的資本経営やエンゲージメント向上の文脈で注目されつつあります。
測定や開発の手法も確立されつつあるなかで、個人と組織の両方にとって価値ある考え方のひとつとして捉えられています。今後、こうした心理的な側面に目を向ける動きは、より広がっていく可能性がありそうです。
参考文献
[1] 心理的資本とは?4つの要素「HERO」や効果を解説! JMAM HRMコラム https://www.jmam.co.jp/hrm/column/0091-shinriteki-shihon.html

