
はじめに
2023年7月、国連のアントニオ・グテーレス事務総長が放った「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化(Global Boiling)の時代が到来した」という言葉は、世界中に大きな衝撃を与えました [1]。
これまでの「温暖化」というどこか穏やかさすら感じさせる表現から、一気に切迫感のある表現へとシフトしたのです。
言葉が持つイメージの危うさ
「地球温暖化」という言葉を初めて聞いたとき、どこか「冬が暖かくなって過ごしやすくなるのかな」といった、ポジティブな誤解をしてしまった方も少なくないかもしれません。
言葉の響きがマイルドであることは、時にその背後にある深刻なリスクを覆い隠してしまうことがあります。
しかし、実際に私たちが直面しているのは、単なる気温の上昇ではありません。記録的な豪雨、猛烈な熱波、そしてそれに伴う生態系の破壊です。
グテーレス氏も、子どもたちが雨に流され、労働者が暑さで倒れる惨状を「悲劇的」と表現しています [2]。これらは決して「暖かくて過ごしやすい」といったレベルの話ではありません。
体感としての沸騰化
近年の夏を思い返すと、もはや「暑い」を通り越して「痛い」と感じるほどの日が増えました。私の周りでも、以前はエアコンをつけずに過ごしていた人たちが、命の危険を感じてスイッチをONにする、実家のエアコンを子供が買うという話をよく耳にします。
「沸騰」という言葉は、水が激しく泡立ち、形を変えていく様子を想起させます。今の気候変動は、まさに平穏だった環境が沸騰するように激変し、私たちの生活の前提を根底から揺さぶっている状態だといえるでしょう。
仕事と環境意識の接続
この変化は、私たちの仕事のあり方にも直結しています。例えば、屋外での作業時間は見直され、オフィス環境の空調管理はこれまで以上にシビアなコスト管理と健康管理のバランスを求められるようになりました。実際に、暑さによる労働への影響は世界的な経済損失にも繋がると指摘されています [3]。
また、ビジネスの文脈においても、環境への配慮は「余裕があればやるもの」から「取り組まなければ市場から淘汰されるもの」へと変わりました。言葉が「沸騰」に変わったように、私たちの意識もまた、緊急事態としてのアップデートが求められています。
おわりに
「地球沸騰化」という言葉は、私たちに突きつけられた警告です。この言葉を聞いたとき、皆さんはこれからの生活や仕事の中で、どのような小さな変化を積み重ねていこうと感じたでしょうか。
次は、具体的な脱炭素への取り組みや、個人でできる対策について一緒に深掘りしてみませんか?
引用文献
[1] 記者会見におけるアントニオ・グテーレス国連事務総長発言(ニューヨーク、2023年7月27日) https://www.unic.or.jp/news_press/messages_speeches/sg/49287/
[2] Hottest July ever signals ‘era of global boiling has arrived’ says UN chief | UN News https://news.un.org/en/story/2023/07/1139162
[3] 異常な暑さに関する記者会見におけるアントニオ・グテーレス国連事務総長発言(ニューヨーク、2024年7月25日) https://www.unic.or.jp/news_press/messages_speeches/sg/50592/

