ガースナーの4分類が教えてくれること

IBMの元CEO、ルー・ガースナーは、企業変革について語る中で、社内の人材を次の4つに分類しています。
「変化を起こす人」
「変化に巻き込まれる人」
「見守る人」
「変化に気づきすらしない人」
この分類は、単なる観察や性格分析にとどまらず、企業が変革を遂げる上で、どのタイプが核となり、どのタイプにどう働きかけるべきかという戦略的な視点も含んでいます。
特に「変化を起こす人」の存在が、組織にとってどれほど貴重であるかは言うまでもありません。では、どうすれば自分自身が「変化を起こす人」になれるのでしょうか。また、そうした人材をどう見出し、育てることができるのでしょうか。
「変化を起こす人」には何が備わっているのか
多くの企業は、変化を嫌う文化を少なからず内包しています。現状維持が安全だという空気が根強く、結果として「見守る人」や「巻き込まれる人」が大多数を占める状況になりがちです。
そんな中で「変化を起こす人」は、現状に違和感を覚え、違和感を見過ごさず、具体的な行動に移します。単なるアイデアだけではなく、社内で合意形成を図り、周囲を巻き込み、実行フェーズにまで持ち込む力がある人です。
たとえば、以下の記事では、現場レベルでの小さな課題意識が、やがて企業全体の意識改革へとつながった実例が紹介されています[1]。こうした動きは決してトップダウンだけでは起きません。むしろ、現場からボトムアップで始まる小さな変化が、やがて大きな潮流を生むこともあります。
変化は「意識」から始まる
ただし、「変化を起こす人」になるために、特別なスキルや地位が必要というわけではありません。大切なのは「変化を自分ごととしてとらえられるかどうか」です。
自らの違和感を無視せず、仮説を立て、小さな改善から始めてみる。その積み重ねこそが、変化の原動力になります。
また、こちらの記事[2]でも指摘されているように、「変化を起こす人」になるには、周囲と適度な距離感を持ち、なおかつ信頼関係を築く能力が不可欠です。孤立した「変革者」ではなく、共感と巻き込みを両立できる存在。言い換えれば「チームを変える人」ではなく、「チームと変わる人」です。
企業としての課題
組織において「変化を起こす人」を育てるには、まずはその芽を潰さない文化づくりが重要です。挑戦を許容し、失敗を学びに変える姿勢。正解主義よりも、仮説検証を重んじるプロセス。そうした風土が、「変化を起こす人」の土壌になります。
一方で、変化に気づかないまま、同じやり方を繰り返す人たちにどう向き合うかも、企業変革において避けて通れない課題です。すべての人が「変化を起こす人」になる必要はありませんが、少なくとも「変化を拒まない人」であることが求められます。
おわりに
自分は今、どのカテゴリーに属しているのか。そして、どの位置にいたいのか。
ガースナーの言葉は、自分の立ち位置を見直す鏡のようでもあり、また、組織における可能性を広げるヒントでもあります。
変化を起こすのは、必ずしも特別な人ではありません。むしろ、日々の仕事にまっすぐ向き合い、小さな疑問をそのままにしない人。それが、未来の「変化を起こす人」なのかもしれません。
引用文献
[1] 新規事業を育てる「変革の担い手」の見つけ方 − 東洋経済オンライン
https://toyokeizai.net/articles/-/478594
[2] 社内変革を起こすのはどんな人?特徴と巻き込み力を考察 − hata blog
https://hata-web.com/blog/29591/

