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2025年5月10日

ニッチ×体験=バズる宿泊体験:コンセプトホテルに見る新しい価値創造

ニッチ×体験=バズる宿泊体験:コンセプトホテルに見る新しい価値創造
2025年5月10日

ここ数年、「泊まること」自体が目的となるホテルが注目されている。特に話題になっているのが、鉄道運転士や航空パイロットになりきれる“コンセプトホテル”だ。これらの宿泊施設は、単なる趣味の延長にとどまらず、経営やマーケティングの視点から見ても非常に示唆に富んでいる。今回は、そのビジネス的背景を紐解いてみたい。


1. ホテル業界における「推し活」経済の台頭

かつてホテルの価値は「立地」や「価格」、「快適性」によって測られていたが、今は「体験価値」へと大きく軸足が移っている。背景には、“ホカンス”(ホテルでバカンス)文化の浸透と、消費者が「趣味」や「推し」に積極的にお金を使う傾向がある。

たとえば、浅草東武ホテルの「鉄道運転シミュレータールーム」では、実際に東武鉄道の運転訓練で使われていた本物のシミュレーターを再利用。宿泊者はリアルな運転体験ができ、鉄道ファンの間で話題となった。

参考:浅草東武ホテルに「実物」を使った運転シミュレータールーム登場

これはまさに、「推し」を応援するために旅行を計画し、そのための出費も厭わない人たち=“推し活”層をターゲットにした商品企画だ。大きな市場規模ではないが、熱量の高い顧客が確実に存在する。


2. 経験の差別化によるブルーオーシャン戦略

供給過多気味の宿泊市場において、価格競争に巻き込まれない手段として「コンセプト特化型」は有効だ。

羽田エクセルホテル東急の「コックピットルーム」は、ボーイング737の操縦席を模した特別室で、元機長の指導のもと操縦体験ができる。一般的なビジネスホテルと比べて価格は高めだが、“飛行機に乗る”のではなく“操縦する”という、他にはない体験価値を提供することで強い差別化が図られている。

参考:羽田エクセルホテル東急でパイロット体験

これは単なる宿泊施設ではなく「テーマパーク的体験を提供するホテル」だ。滞在時間そのものがエンタメとなり、宿泊が“目的”となる。


3. SDGs時代の“ストーリー性ある再利用”

これらのコンセプトホテルが優れているのは、「使い古された設備のリユース」に意味づけを加えている点にもある。

たとえば、京成ホテルミラマーレでは、京成3400形電車の実物パーツを使用した「トレインルーム」を展開している。鉄道部品は本来なら産業廃棄物として処理されるが、「実際に走っていた電車の一部に泊まれる」という文脈を加えることで、単なる古物が“ストーリーある資産”へと変わる。

参考:京成電鉄3400形トレインルーム宿泊プラン

このような「サステナビリティ×体験価値」の掛け合わせは、SDGsに積極的な姿勢を見せたい企業にとっても重要なポイントとなる。


4. SNS時代の“語りたくなる宿泊体験”

加えて、これらの体験型ホテルはSNSでのシェアを前提に設計されている点も見逃せない。

たとえば、シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテルのフライトシミュレーター付きプランでは、制服レンタルや記念撮影も提供され、InstagramやYouTubeなどの“映え”にも対応。これにより自然なクチコミが生まれ、広告費をかけずとも認知が拡大する。

参考:シェラトンホテルでフライトシミュレーター体験

体験をSNSで「発信したくなる」ことは、現代のプロモーション戦略において無視できない。


まとめ:体験経済の中で選ばれる宿とは

体験を軸に再定義されたこれらのホテルは、単なる宿泊の枠を超え、ブランドそのものが「語られる価値」を持つようになっている。

  • 推し活経済を見据えた熱狂的ファンの取り込み
  • ニッチ市場への集中戦略と価格競争の回避
  • ストーリー性のあるSDGs施策
  • SNSシェアによる自然流入

こうした要素が掛け合わさった結果、「体験を売るホテル」は強力なブランド資産となり得る。コンセプトホテルは、今後の体験経済時代において、ひとつのマーケティング成功モデルとして注目されていくだろう。

前の記事「お金の向こうに人がいる」という視点で考える、物価と賃金のこれから次の記事 “世界観に泊まる”時代のマーケティング戦略:キャラ×宿泊の体験設計

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