
ユーザインタビュー(ユーザーインサイト)
資生堂は市場調査やユーザーインタビューを通じて、スキンケアへの関心が高まる一方で、メイクに対する価値観が変化していることを把握しました。
具体的には、「できればスキンケアだけで過ごしたい」「ファンデーションは肌への負担になる」と考える生活者が増加し、ファンデーションを使用しない「ノーファンデ派」や、必要な部分だけをコンシーラーや化粧下地で補う「レスファンデ派」が増えていることが明らかになりました[1]。
この調査から、「肌をきれいに見せたい」というニーズと、「肌への負担は減らしたい」というニーズが同時に存在していることが分かりました。
提案(新しいユーザビリティ)
このようなユーザーの価値観の変化を受け、資生堂は従来の「美容液入りファンデーション」という発想ではなく、「美容液で肌を彩る」という逆転の発想から「ファンデ美容液」という新しいベースメイクカテゴリーを提案しました[2]。
ファンデ美容液は、スキンケアとベースメイクを一体化させることで、「メイクをする」と「肌をケアする」を同時に実現する新しい使用体験を提供しています。これにより、ファンデーションに抵抗を感じていたユーザーでも、スキンケアの延長として自然に取り入れられるようになりました。
従来は「肌を隠すためにファンデーションを塗る」という体験でしたが、ファンデ美容液では「肌を育てながら自然に美しく見せる」という新しい体験価値へと転換しています。
考察
この事例は、既存製品の性能を向上させた事例ではなく、ユーザーの潜在的なニーズを発見し、新しい使い方そのものを提案した事例です。
つまり、ユーザーの心理的負担を軽減しながら、スキンケアとメイクという従来は別々だった行為を一つの体験へ統合した点に、新しいユーザビリティの価値があります。ユーザーの行動や価値観の変化を起点として、新しいカテゴリーを創出した好例といえます。
引用文献
[1] 株式会社資生堂「ファンデーションを、スキンケアへ。資生堂独自の”セラムファースト技術”から生まれた『ファンデ美容液』逆転発想から生まれた”彩る美容液”という新提案」 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002607.000005794.html
[2] 株式会社資生堂「”セラムファースト”という逆転の発想で、新カテゴリーを創出する『ファンデ美容液』開発物語」 https://prtimes.jp/story/detail/qx9JLRCw3Rr
