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2025年6月14日

日本政府が促進する副業とジョブ型雇用~安心と不安の表裏一体

日本政府が促進する副業とジョブ型雇用~安心と不安の表裏一体
2025年6月14日

1. はじめに

日本政府はここ数年、企業に対して副業・兼業の解禁を積極的に促しています。働く側にとっては、収入の柱を増やすチャンスであり、スキル向上の場でもあります。一方で、雇用形態が「ジョブ型」に移行しつつある中、「副業推進」が雇用の安定とどう関係するのか。働く現場でのリアルな感覚とともに、その背景と未来を考えてみます。

2. 副業促進の背景と現状

副業解禁の動きは2018年に厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を策定したことから本格化しました。その後も改訂が続き、2025年3月版では企業が柔軟に副業を認める制度設計を後押ししています[1]。概要資料や本編のガイドラインでも、副業は労働者のキャリア形成・生計安定に資するものとして明記されています[2][3]。

現場では、以下のような副業スタイルが広がりを見せています:

  • 社内副業:ソフトバンクは他部署での兼業を制度化[4]。
  • 社外副業:富士通や日立では、スタートアップ支援や地域活動などを条件付きで容認。
  • 個人事業型副業:Web制作やライティングなどを副収入源とする社外活動が一般化してきました。

また、2025年の複数の調査でも副業市場の拡大が明らかになっています。副業人材の登録数や案件数が前年を大きく上回り、副業を経験した会社員の割合も5割を超えています[5][6][7]。

こうした背景には、リモートワークの定着や副業マッチングサービスの充実があり、副業への心理的・制度的な壁は着実に低くなっています。

3. ジョブ型雇用と成果主義の強まり

並行して、「メンバーシップ型」から「ジョブ型雇用」への移行も進んでいます。ジョブ型では、職務範囲・勤務地・責任が契約上明示され、それに応じた成果が求められる傾向が強まります。

2024年4月には、労働条件通知書や契約書に「就業場所・業務の変更範囲」などの明示が義務化されました[8]。これにより社員と企業の間で期待と責任の透明性が高まり、成果が出せない場合のリスクも明確になりつつあります。

4. 副業と本業の“両立力”が鍵

副業は、スキルの幅を広げたり、将来的な独立の準備として取り組まれることもありますが、働き方次第では本業に悪影響も及ぼします。

メリットリスク
・副収入で生活の安定
・他業界の経験で視野拡大
・自身の市場価値向上
・副業疲れによる本業への支障
・職務適合性における評価低下
・成果が出せず契約リスク

ジョブ型雇用のもとでは、本業に求められる成果基準が厳格化します。「副業が可能だから」といって本業に手を抜くと、評価にも契約にも影響が及ぶ可能性があります。

5. 自由の裏にある“シビアな現実”

副業が認められる一方で、企業と社員の関係は「成果を示した上での契約」に変わっていきます。副業を通じて得た知識や経験を本業に還元する姿勢が不可欠です。そうでなければ「副業ばかりして成果が出せない」と評価されるリスクもあります。

ただし、日本の労働法では解雇には高いハードルがあり、企業には再教育や配置転換の努力義務も課せられています。しかし、職務内容がより明確になるほど、成果を出せない場合の居場所は限定されやすくなるのも現実です。

6. 結びにかえて

副業解禁とジョブ型雇用の拡大は、会社員にとって「自由」と「責任」を同時に引き上げる流れです。
副業はキャリア形成の手段でありながら、本業にもポジティブな影響を与えうる自律型人材の証しともなります。今後は、副業先でも本業でも成果を出し続ける人材が、より高く評価されるようになるでしょう。


参考リンク一覧(本文登場順に対応)

[1] パンフレット版(厚労省 2025年3月更新)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000192845.pdf

[2] ガイドライン概要資料(厚労省 PDF)
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000665402.pdf

[3] 副業・兼業の促進に関するガイドライン(厚生労働省 PDF)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000192844.pdf

[4] ソフトバンクの社内副業紹介(日経キャリアネット)
https://career.nikkei.com/nikkei-pickup/002086/

[5] note記事:副業前提採用・ハイブリッド型増加のトレンド
https://note.com/k_business_salon/n/n90fcb2a736bc

[6] Persol「HiPro Direct」登録者・案件増加データ
https://www.persol-career.co.jp/system/files/newsroom/news/pdf/NewsRelease_%E5%89%AF%E6%A5%AD%E6%A1%88%E4%BB%B6%E6%8C%AF%E3%82%8A%E8%BF%94%E3%82%8A%EF%BC%86%E5%B8%82%E5%A0%B4%E4%BA%88%E6%B8%AC_20250313_1.pdf

[7] エン・ジャパン「仕事のかけもち・副業」調査2025
https://corp.en-japan.com/newsrelease/2025/40902.html

[8] 労働条件の明示義務改正(厚生労働省ページ)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32105.html

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